常盤電機の次世代プロジェクト2大事業部 本部長対談常盤電機の次世代プロジェクト2大事業部 本部長対談



執行役員
第1事業本部 本部長

山口 記生 さん

1996年に入社後、複数の部署で
マネージャーを務め、大阪営業所の責任者などを歴任。
2023年に執行役員および第1事業本部本部長に就任。
現在は、日立の産業機械や空調機器、HiKOKIの
電動工具などの販売・メンテナンスを担う部門の統括を担当している。

執行役員
第2事業本部 本部長

吉野 剛 さん

2004年入社。マネージャー、第2事業本部の
副本部長を経て、2016年に本部長に就任。
FAシステムや協働ロボットなどの新規商材の新規事業の拡大に尽力する。
2023年には執行役員に就任。
現在はソリューション部門全体の統括をする。



製造業を取り巻く環境の変化と未来への挑戦

山口さん
常盤電機は100年以上前から続く企業ですが、特に兵庫県内では「日立の特約店」として認知されています。地元の製造業や建築業を支える商社として、産業機器や空調設備などを販売、メンテナンスを行ってきました。第1事業本部では、常盤電機が従来行ってきた「商社」としての仕事を、より時代に即したものに進化させ、お客様の生産活動を発展させることがミッションです。
吉野さん
第2事業本部では、FA(ファクトリーオートメーション)や協働ロボットを活用した省人化を推進しています。近年、あらゆる業界でDX化が叫ばれていますが、常盤電機では、2016年から本格的にこの事業に取り組んでいます。
山口さん
我々は、製造業のお客様とのお取引が中心ですが、製造業は現在、とても複雑な課題をたくさん抱えています。その中でも最も表面化しているのが、労働力不足ですね。物流や介護など、いくつかの業界ではすでにこの問題は「赤信号」が灯っているほど深刻化しています。これは近い将来製造業に起きると予見されており、すでに「黄色信号」が灯っているんです。
吉野さん
しかも赤に限りなく近い黄色だと思いますね。お客様とお話していると、「2027年」という一つのキーワードが見えてきます。ここが、製造業において人手不足がより深刻化するとも言われています。この状況下でも生産量や品質を維持し、さらには向上させるお手伝いをすることが、第2事業部だけでなく、常盤電機の使命だと考えています。
山口さん
でも、現実問題として、労働人口の減少スピードの方がテクノロジーの進化よりも速いと感じています。このままでは、社会全体が現在のクオリティを維持できなくなる可能性もあるのではないだろうかと。
吉野さん
確かに、「いつか労働力が不足する」と言われ続け、私たちは2015年からこの問題に取り組んできました。でも、当時に2025年現在の状況が予測できていたかというとそうではなく、ここ数年で急激にこの問題が加速していった気がしています。
山口さん
単にモノ作ることに留まらず、どのような環境、条件下で製造するのかが求められるようになってきていますね。例えば、脱炭素に向けた法規制への対応をしなくてはなりません。そこに加えて、働き方改革で、一人当たりの労働時間が規制されたんです。
吉野さん
人口減少に加え、労働時間のも規制され、労働力はぐんぐん下がっています。それなのに、求められる業務の幅は広がるという状況に陥っていますよね。
山口さん
「環境にやさしい」「人にやさしい」製品づくりが世の中に求められていて、それに取り組むために、私たちのようなベンダーに対する期待も複雑化してきているという訳です。

次世代に向けたビジョンと成長戦略

吉野さん
このような状況だからこそ、今まで通りのビジネスのやり方では、お客様のニーズに全て応えられなくなってきたと思います。現状を知ると、不安を感じることが多いかもしれませんが、実は今こそ次のステップに進むべきチャンスがあると考えています。 そのために、我々は中小企業から中堅企業へと成長し、売上も倍以上を目指していくというビジョンを掲げました。
山口さん
そのための戦略の一つが、「兵庫の常盤電機」から「日本の常盤電機」になることです。これまで地域の製造業のお客様に対して行ってきたことを、全国へと展開していきます。そのため、2024年には東京にも営業所を設けました。また、グローバルに活躍するメーカーを探し、世界から取り扱える商材を集めていこうと考えています。
吉野さん
そして、100年以上続く商社としての強みと、FAや協働ロボットといった最新技術を活用しながら、常盤電機ならではの商材とサービスを提供していきたいですね。それが新たなマーケットの創出につながると思います。 お客様の顕在化している課題に対して解決策をご提案していくのが従来のビジネスモデルだとすると、市場が求めるサービスを敏感にキャッチし、私たちから「こういった提案がありますよ」という情報を提供していくんです。これによって、今までは出会うことができなかったお客様とつながることもできます。
山口さん
商社とソリューションを掛け合わせることで、「常盤電機の価値」をさらに高めていくということですね。
吉野さん
個人的には、ニッチな分野で「日本一の代理店」を目指すのもいいかと考えています。モーター事業ではABBのグローバルパートナーになっていますが、「ABBのモーターなら常盤電機」というように、特化したものを作りたいなと。
山口さん
その一方で特定の領域にこだわりすぎると、売り上げが担保できないという側面もあり、メジャーも狙わなくてはならない。でも、これからは、ニッチかメジャーかという、相反する2つを選ぶ時代は終わったと思うんですよ。ニッチもメジャーもどちらも獲得するために、我々は視野をより広く持っていかないとだめだと思うんです。だからこそ、製品を販売するだけでなく、異なる製品を組み合わせてソリューションを提供していかなくてはならないと思うんです。
吉野さん
そうですね。他にも、「ものづくり」という視点から見た時、我々はわき役です。でも、だからこそ提供できる価値があると信じています。 例えば、限られた人材をより効果的に活かすためのアウトソーシングの提案や、複数の企業が共同で設備を導入し、シェアするような新しい仕組みづくり。多くの企業との関係が深い我々だからこそ、できることがあるはずです。
山口さん
そうした企業間の連携を促進するために、10年前から製造業トップ層の交流の場を設けています。実は、そこから企業同士が連携し、新たなビジネスも生まれようとしています。今後は、私たち自身も「競合」と考えていた企業とアライアンスを組み、新しいビジネスを生み出していくことが必要だと考えています。

次世代の人材に求めるものとは?

次世代の人材に求めるものとは?

山口さん
AIの進化によって、今後数年以内に多くの仕事がなくなると言われています。例えば、PCを使った単純作業の多くはAIに置き換えられるでしょう。 では、残る仕事は何かというと、それは「つくる」「考える」ことが伴う仕事だと予測されています。今後は、今以上に創造性を求められる時代になるでしょう。 だからこそ、「つくりあげる楽しさ」を感じられる会社でありたいと思っています。
吉野さん
結局のところ、「人間力」が重要になるんでしょうね。技術の進化が加速する中で、私たちが求めるのは、それを恐れずに「楽しめる人」 です。 私たちマネジメント職は、創造を楽しめるよう、社内でディスカッションの場を増やし、社員同士のアイデアをかけ合わせることができる環境を用意していっています。
山口さん
これからの時代は予測不能な変化が続くでしょう。そんな中で、「この変化を楽しもう!」というマインドを持つ社員が常盤電機には多いですね。これからも、「やりたいことを実現できる環境」 をつくり、みんながワクワクできる会社であり続けたいと思います。
吉野さん
そして、自分で考え、自由にチャレンジし、創造し続けることができる。―それが、次世代の常盤電機を支える文化になればいいですね。